犬
1回目の発情後に子宮蓄膿症になってしまった子犬
1回目の発情後に子宮蓄膿症になってしまった子犬
子宮蓄膿症とは、子宮の中で大腸菌などによる細菌感染が起こり
子宮に膿が溜まってお腹の中でパンパンに膨れ上がり
体調を崩してしまう病気です。
感染が重度になったり、お腹の中で子宮が破裂すると
命に関わるほどの重篤な状態になるため
発見し次第早期に手術を行う必要があります。
通常、子宮蓄膿症は中齢から高齢の未避妊メスが
発情出血を起こしてから1〜2ヶ月後に発生します。
メス犬では通常、性成熟は
生後6ヶ月くらいから12ヶ月くらい、遅くとも2歳までには起こり
発情周期は季節に関係なく半年〜1年毎に来ます。
犬の発情では陰部が腫大し、薄い出血が陰部から認められるので分かりやすいです。
今回、初回の発情後1ヶ月で子宮蓄膿症になってしまった子犬を治療しました。
1ヶ月後に避妊手術を予定していたトイプードルの7ヶ月齢の子犬さん。
発情出血が先日終わったそうでした。
前日にトリミングに行ってから突然元気・食欲がなくなって震えていたので来院しました。
検査をしてみると陰部から膿みが出ており、
エコーでも子宮の拡張が認められたため子宮蓄膿症と診断されました。
拡張した子宮のエコー画像
拡張した子宮のエコー画像
状態は比較的落ち着いていましたが、急変も考えられたのでその日のうちに手術としました。
子宮は中程度に拡張して中には膿が大量に含まれていました。
拡張した子宮
切除された子宮。内部には膿の貯留
比較:正常な子宮は細い
術後すぐに元気になり、術後2日で退院となりました。
おうちでもとても元気で1週間で抜糸して治療終了としました。
病理の結果は子宮蓄膿症で、原因菌は大腸菌でした。
肛門周囲の毛に付いたウンチや、陰部を舐めることで子宮内に侵入してしまったと思われます。
前日のトリミングは関係ないと思われました。
元気になったトイプードルちゃん
子宮蓄膿症は通常は中齢から高齢に起こりますが、
年齢に関係なく子宮がある限り起こり得るという事です。
子宮蓄膿症は命に関わる緊急事態の事が多いので無事に終わって良かったです。
犬では発情出血が終わっても2ヶ月程度プロゲステロンという黄体ホルモンが出続けます。
この作用により子宮内膜が増殖し、回数を重ねるごとに子宮内膜が肥厚します。
そこに大腸菌などの細菌が侵入・増殖することで
子宮蓄膿症になってしまいます。
避妊手術の目的として発情出血の永久的な回避、卵巣子宮疾患の予防、乳腺腫瘍の予防などがあります。
また、デメリットとしては全身麻酔を麻酔をかけて
健康な体にメスを入れるというリスクを伴う事、生体の一部を失うという事、
太りやすくなるという事が主に挙げられます。
避妊を悩まれている方は、かかりつけの獣医師とよく相談し、メリット・デメリットを考えて
どうするかを決めると良いと思います。
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