Blog

温風式ウォーミングシステムを導入しました。

当院では手術を行う事がよくあります。

今回、麻酔中の体温管理を効果的に行える温風式ウォーミングシステムを導入しました。

コクーンウォーミングシステム

 

手術中の麻酔管理を安全に行うために麻酔中の患者の心電図、心拍数、血圧、経皮的動脈血酸素飽和度 (SpO2)、呼気終末炭酸ガス濃度 (EtCO2)、体温など様々な生体パラメーターを計測し、異常があれば即座に対応できるよう麻酔師を配置して管理をしています。

その中でも体温の低下はよく発生するトラブルであり、低体温状態が続くと術部感染症(Surgical site infection: SSI)や肝臓代謝機能低下による薬剤代謝遅延、血液凝固能低下による止血異常など患者に不利益となるような作用をもたしてしまいます。
一般的には低体温にならないような麻酔管理、環境整備が求められます。

体温が失われる機構として、麻酔薬による交感神経ブロックが起こり末梢血管が拡張して体の中枢の熱が末梢に逃げて指先などから放熱したり、脳の体温中枢の抑制から体温調節機能が低下する結果と考えられています。また、開腹や開胸手術では術創からの体温放出や水分蒸発による気化熱の放出などで更なる体温低下が起こります。その後、逃げる熱の量と代謝熱などの発熱量が平衡すると体温低下があるところで止まります。低体温が長時間続くとSSIや肝機能低下、凝固障害、シバリング(寒さによる全身の震え)による酸素消費量の増加や不快感が起こってしまいます。

なるべく低体温にならないように、手術開始前から終わるまでしっかりと体温管理をすることが重要になります。

今までは点滴を温めて血液から温めたり、床式の保温器を使用して保温をしていましたが、長時間の手術や開腹手術では体温維持が難しくなってしまう事がありました。

そこで今までよりも効果的に保温ができるように温風式ウォーミングシステムを導入しました。
患者の下全体を暖かい風が循環する事で効果的に保温ができ、より低体温発生を抑えられるようになりました。

 

今後も患者さんの体に負担が少なくなるよう、医療技術と共に医療機器もアップデートしていきたいと思います。