Animal case

高齢猫の歯肉炎・歯周病の治療

永福あにまるクリニック 獣医師 山崎です。

まず、医療従事者の方々、インフラ・物流の方々、感染リスクを伴う大変なお仕事を いつもありがとうございます。 そして外出自粛している皆様。もう少しの辛抱です。みんな一緒に頑張りましょう!

 

当院では新型コロナウィルスの感染拡大防止のために、予約制を導入して 飼い主さん同士がなるべく同じ時間に重ならないようしています。 また、スタッフ・来院者のマスク着用と手指・ドアなどの消毒、頻回の換気を行うなど 各種対策をしています。 ご不便をおかけしますがご理解とご協力お願いいたします。

さて、飼い主さんがステイホームとなり、普段と家の中の環境が変わって 体調を崩すペットも中にはいます。

糖尿病治療中のネコなどは少しのストレスで血糖管理がつきにくくなることもあるので 特に注意したいですね。 お家でできるペットの健康管理として体重、元気、食欲、おしっこの具合、ウンチの具合などは観察しやす く変化にも気付きやすいのでしっかりチェックしていきましょう。 ついついオヤツをあげすぎて、太らせすぎないように注意しましょう。

そして、もう一つ気にしたいのはお口の中です。 皆さんはペットの口の中をチェックしていますか? 知らぬ間にひどい歯周病になっていることも…

 

前日から突然ご飯が食べられなくなってしまった17歳のおばあちゃんネコ。

どうやらヨダレもダラダラでひどい脱水のご様子。

口を見てみると、

左上顎犬歯が内側に折れて下の歯に当たっている。これでは口が閉じられないのでヨダレが出てしまいます

左上の犬歯(長く太い尖った歯)が変な方向に折れ曲がり

下の前歯に当たって口が閉じられなくなってしまっていました。歯肉炎もあります。

正常な歯並びは上顎の犬歯が下顎の犬歯の外側に位置しますが、 左上の犬歯が左下の犬歯の内側に来てしまっています。

話を聞くと半年くらい前から前足で口をしきりに掻いていたそう。

おそらくそれ以前から歯周病があって、気にして掻いたり、どこかから着地した際の衝撃などで折れ曲がっ てしまったと思われました。

猫は歯磨きが難しいことが多く、歯石や歯肉炎・歯周病になってしまうことがとても多いのです。

歯石の付着と歯肉炎。犬歯はグラグラ

17歳と高齢でしたが、聴診・触診・血液検査・レントゲン検査で異常はなし。高齢で腎臓などの臓器の予備 能力低下が考えられるのとヨダレの脱水補正のため1泊点滴入院させて翌日全身麻酔をかけました。 左上の犬歯とその他悪い歯を抜き、抜いた犬歯の所の穴を縫い縮め、残った歯をきれいに磨いて無事終了。

きれいに磨いたあと。左上顎犬歯は抜いて、歯肉を縫合

高齢のため麻酔からの覚醒にはやはり時間がかかり、腎臓の数値も軽度に上がりましたが、翌日にはご飯を 食べ始めました(前日から点滴入院させておいて良かった)

退院後もご飯をモリモリ食べているそうでした。 飼い主さんも、また元気にご飯を食べられるようになった彼女を見て嬉しそう。 17歳だけどまだまだ美味しいご飯を食べて元気に暮らしてほしいですね。

みなさんも是非、日頃からペットの口の中をチェックしてみて下さい。